おばあちゃんの忘れ物

私の角隠し (は、借り物です)

美容学校の先生で、花嫁さんの着付けもしていた私のおばあちゃんは、今でも着付けに行った先で忘れ物をしたことに気付いて、アセる夢を見ると言う。実際に何か忘れ物をしたことあるの?と聞いたら、しばらく考え込んでいたけれど、「あったわ、一度だけ」と思い出して苦笑していた。
忘れたのは、角隠しだったそうで。そりゃあ、大変な忘れ物だ。あわてて町内の写真館に走って、借りて来たんだそうだ。
明治生まれの働く女だったおばあちゃんは今95歳。これってきっと、戦前の話なんだろうなあ。