ルイスの恐怖は本物か?

ルイスの手を握りっぱなしであった

ポルトガルから来たルイスを連れて、浅草の神谷バーに行った。前もそうだったけど、席を探してウロウロしていると、あっちこっちから「ここが空いているよ」と声がかかる。相席になった人たちと、オシャベリするのは楽しいんだけど、よっぱらい達のたわごとを通訳するはけっこう大変だ。

ルイスはそれまで日本の田舎を旅行してきて、道を聞くのも苦労したんだそうで。日本人はみんなすごいシャイだと思っているので、このバーに限って人が話しかけてくるのを不思議がる。
「実はこの人たちはゲイで、ルイスの事が好きなんだよ」と言ったら、けっこう本気にしている。だって、私たちのテーブルに「ソーリー、ソーリー」と言いながら次々におじさんやお兄さんがやってくる。持参したジョッキのビールをぐいぐい飲みながら、「ユーアーベーリークール」とか言ってルイスと握手したり。
私たちから見ればふつうの日本のよっぱらいだけど、ルイスは「You must protect me」とか言って怯えている。トイレに行ったと思ったら、あの人が追っかけてきた、と青い顔をして出てきたので見たら、坊主頭のランニングシャツの巨体のおじさんだった。

ゴメンよ、ルイス、脅かして。彼らの事は日本ではヨッパライというのだ。でも、もしかしたら、本物だったかもね。