色無地と自作黒(ガムテ)ぞうり

今年はYおじちゃんの7回忌だった。みんな90歳の後半まで生きるうちの家系で、唯一56歳で死んじゃったほどの大酒呑みだった人だ。
Yおじちゃんが亡くなった当時は社会に出たばっかりで、お父さんの突然死に呆然としていた3人のいとこたちも、今は立派にやっている。久しぶりにみんなに会えるのが楽しみだ。Yおじちゃんなら私が着物を着て法事に行ったら喜んでくれるだろう。と、バーゲンで買った色無地を仕立て下ろしで着て行くことにした。オークションでせっせと1000円の黒い帯やら帯び上げ、帯締めセットを落として集めて備える。不祝儀用の黒い草履を買う余裕までは無かったので、いつもの草履の赤い前ツボ(指のマタのところ)を、黒いガムテープで巻いて隠して、履くことにする。普通なら不謹慎かもしれないけど、Yおじちゃんならきっと笑って面白がってくれるだろうし。

お寺さんにみんなで集まって、お経を上げていただいて、さあ卒塔婆を持ってお墓に行きましょうとぞろぞろ歩き出した。お坊さんはお堂の出口で手を合わせて見送ってくれている。私がかしこまって前を通ろうとしたら、いきなりタメぐちで「着物、自分で着たの?」と明るく話しかけられた。びっくりしつつも、着付け教室で習いました。と言ったら、そう。もっと着る機会を多くしなくっちゃねえ!だって。それってもっと法事に来てねってことかしら。お坊さん以外にも私の意外な着物姿は、なかなか意表をつき好評であったよ(と思いたい)。