do me a favour? 希望を聞いてもらえますか?

好物の筋子を持ってく約束をした

おばあちゃんが退院した。96歳骨粗しょう症で背骨はすかすかで四六時中痛み、おまけにトイレで転んで大たい骨骨折して、もう生きて病院は出られないと正直思っていたのに。びっくりだぜ、すごいね、おばあちゃん。200歳まで生きて、一緒に老人ホームのベッドに並んでおしゃべりしよう。

おばあちゃんが病院に入ったときは、体中が痛いと身動きもできず、水、水とうめくばかり。点滴が内出血で紫色になった腕に刺さり、かろうじて出る食事はどろどろの重湯やスープ。それも最初は自分では食べられず、頭はしっかりしていて耳もよく聞こえるので、そんな状態を自分でちゃんと自覚していて、どんなに辛かっただろうか。
病院ではもっと食べて、と迫ると、重湯はいやだ、入れ歯を入れて自分の歯で噛んで食事をしたいと言っていた。それならもっと食べる気になると。入れ歯は病院側がどこかに持って行っちゃったんだとか。
ならば先生にそう言えばいいじゃない、と私が入れ知恵。患者はもっと主張すべきだよ。おばあちゃんはボケてないし、自分で食事をしたいという希望もある。入れ歯を入れて噛んで食べたいってお医者さんに言ってみなよ、と。

私はおばあちゃんに希望を持たせた気分になって、揚々と家に帰ったんだけど。後から聞いたらその入れ歯を返して、という主張は病院側に拒否されたという。理由はわからないけど、どれだけおばあちゃんががっかりしたことか。私はおばあちゃんに余計な入れ知恵をしたことをとても後悔した。

おばあちゃんの点滴につながれ、身動きもできず、食べ物はどろどろの重湯という生活は、幸いにも1ヶ月足らずで終わったんだけど、そんなおばあちゃんを見て、私もよく考えた。私だったらどうするかな…、と。
私だったら、96歳で全身の骨粗しょう症のと足の骨折の痛みが治る見込みも無く、身動きもできずにこのまま死んでいくんだなと自覚したら、もう点滴はしなくていいから、と言いたいな。おばあちゃんにそこまでは勧めなかったけど。でも言ったとしても、病院は入れ歯すら返してくれなかったんだから、点滴なんて拒否できたのかどうか。

おばあちゃんは今回は退院できて、今は点滴も無く、お相撲見ながらもみじ饅頭なんか食べちゃったりしてるんだから、結局は良かったんだけど。いよいよになったら本人の意思ってどこまで聞いてもらえるのかなあ…。