佐多稲子さんのエッセイにそれが詳しい

日本の名随筆シリーズのなかに、鶴見和子さん編集の着物という本がある。1879年生まれから1950年生まれまでの、そうそうたる随筆家たちの短文が集まっていて、ひとつひとつなるほど、と深く感じ入りながら読める名作だと思う。
日本の名随筆 着物 鶴見 和子 (編集)
読み進むにつれて、着物というものはもうすでに日常性を失って、伝統の美の中で生きているものなんだなあと、改めて思い知らされる気にもなる。いくら私が着て飲み会に出かけたり、無料着付け教室の宣伝をしたりしても、着物自体が現代の(社会)生活に合わないと、昭和後期の時代の人たちすら思っているのだから、21世紀以降に着物が日常にフッカツすることなど、決して起こりえないんだろうなあ。