棹+勘所シール

西洋ギターのネックは線で区切られていたり、さらにご丁寧に丸印がついていたりして、どこを押さえたら何の音が出るかはっきりわかるんだけど、三味線は違う。ただのずんべらぼーの「棹(さお)」だ。
全部が「大体この辺」で、そもそも最初の音合わせから「その時の気分」でやるので、(西洋ギターは音叉を使って時報のラ音に合わせる)一曲弾くごとに音程が違ってたりする。それでいいのだ。唄い手や踊り手の気分に合わせて音は調節するもんだと師匠は言う。「大体この辺、でみんなが合わせる」「くだくだしい理屈は不要」ってのが、なんて日本的なんだろうと私も思う。
でも初心者にはそれはとっても難しいので、今は勘所シールってのが売られている。棹の長さ分のシールで、数字が印刷されていて、その番号の所を押さえれば、その音が出るようになっている。棹に貼って目印にするんだけど、楽天最安値で買った私の勘所シールは、まるで虹を見ているかのようにだんだん数字の印刷が薄くなって、ついにはまったく見えなくなってしまった。仕方なく修行と思って、シールの数字の見当無しに、勘で弾くようになった。ちゃんと指がその位置に行く時もあるけど、はずす時も多い。
これがホントの勘所〜、べべべんべん。
勘所って言葉は元々は三味線用語だそうで、まあ言葉の通り、勘で押さえてもはずさず音を出しましょうってことだ。同じ音ばかり弾く時はいいけど、音を飛ばすために左手を激しく上下させる所では、一体自分がどこを押さえているのかわからなくなって、思い切り調子はずれになってしまうよ。
三味線よく聴いていると、つつつんつんつ〜ん、とか弾きながら、微妙に音がずり上がったり下がったりする時がある。あれは調子はずれを直しているんだなあと最近わかってきた。